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 疲労が溜まった体をずるずると引きずるように動かし、ゆっくりとその場を離れた。此処にいても貴重な睡眠時間を削ることになるだけだと分かっていたからだ。既に眠ろうとしている体を引きずり、なんとか自室の前に着くことができた。
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 自室へと繋がる麩に手をかけ開くと、ガランとした室内が目に入った。一人分スペースが空いただけでこんなに部屋を広く感じるというのはいささか問題かもしれない。本棚でも買ってこようか、などといったくだらないことを考えつつ、押し入れから綺麗に畳まれた布団を引きずりだし乱暴に広げる。
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 さっさと寝てしまおう。布団を敷いてからその上でぼんやりと考え事をするのがいつもの習慣なのだが、今日はなんだか気分が乗らないのでやめ。
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 溜息を一つ吐き、ゆっくりと瞼を下ろす。
  
疲労が溜まった体をずるずると引きずるように動かし、ゆっくりとその場を離れた。此処にいても貴重な睡眠時間を削ることになるだけだと分かっていたからだ。既に眠ろうとしている体を引きずり、なんとか自室の前に着くことができた。
 
自室へと繋がる麩に手をかけ開くと、ガランとした室内が目に入った。一人分スペースが空いただけでこんなに部屋を広く感じるというのはいささか問題かもしれない。本棚でも買ってこようか、などといったくだらないことを考えつつ、押し入れから綺麗に畳まれた布団を引きずりだし乱暴に広げる。
 
さっさと寝てしまおう。布団を敷いてからその上でぼんやりと考え事をするのがいつもの習慣なのだが、今日はなんだか気分が乗らないのでやめ。
 
明日になればぬえもナズーリンも帰ってきて、きっと全てが元通りになるんだ。どうせ私に出来ることなど何一つないのだから、こうやって信じ続けることしか出来ない。
 
祈るだけならタダ、という発言にはいささか問題があるかもしれないが。
 
溜息を一つ吐き、ゆっくりと瞼を下ろす。
 
  
先ほどまでの疲れ具合からしてそのままするりと眠りに落ちるはずなのだが、どうしてか何時まで経っても寝られない。取留めのない内容の思考に意識を埋めようとしても、ずるずると意識が表層へと現れてきてしまう。
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 先ほどまでの疲れ具合からしてそのままするりと眠りに落ちるはずなのだが、どうしてか何時まで経っても寝られない。取留めのない内容の思考に意識を埋めようとしても、ずるずると意識が表層へと現れてきてしまう。
時間だけがただ無駄に過ぎていく。一刻、二刻……。
 
  
そして、はたと思い当たった。
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 時間だけがただ無駄に過ぎていく。一刻、二刻……。
風呂にもまだ入っていないし、歯も磨いていない。幽霊なのだからそんなことをやらなくても問題はないのだが、やらなきゃやらないで何だか気持ちが悪いのだ。当たり前のことが出来なくなるほど切羽詰まっている、というのはどうやら正しかったらしい。
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なかなか動こうとしない体を無理に動かし、麩を開く。
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気がついたのがだいぶ遅かったようで、廊下の明かりは完全に消されていた。壁に手をつきながらゆっくりと進んでいく。早く気がつけばよかったんだ、と自分に悪態をつきながら洗面所へ向かう。
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 そして、はたと思い当たった。
何回か転びそうになりながらもなんとか洗面所にはたどり着いたものの、風呂に張られたお湯はすっかり冷め切っていた。今から自分のためだけに火を熾すのも馬鹿らしい。仕方ない、別に支障があるわけでもないのだから明日に回そう。とりあえず歯磨きだけでもして少し強引に寝てしまえばいい。
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歯を磨こうとすると、必然的に洗面台についている自分と向き合う鏡を見ることになる。ふむ、だいぶ不健康な顔になったものだ。せっかくの可愛い顔が台無しといったところだろうか、と考え、少しだけ笑ってしまう。笑う、といっても口の端を不器用に釣り上げるだけの不恰好なものだが。
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 風呂にもまだ入っていないし、歯も磨いていない。幽霊なのだからそんなことをやらなくても問題はないのだが、やらなきゃやらないで何だか気持ちが悪いのだ。当たり前のことが出来なくなるほど切羽詰まっている、というのはどうやら正しかったらしい。
塩で歯を乱暴に洗い、唾を吐き出す。何処かが傷ついたのかピンク色の唾液がどろどろと広がった。塩が染み、ヒリヒリとして気持ち悪い。小さな杯に水を汲み、塩まみれになった口の中を洗う。死んだ場所のこともあって塩水は出来るだけ口の中には入れたくないのだが、この時ばかりは仕方がない。
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 なかなか動こうとしない体を無理に動かし、麩を開く。
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 気がついたのがだいぶ遅かったようで、廊下の明かりは完全に消されていた。壁に手をつきながらゆっくりと進んでいく。早く気がつけばよかったんだ、と自分に悪態をつきながら洗面所へ向かう。
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 何回か転びそうになりながらもなんとか洗面所にはたどり着いたものの、風呂に張られたお湯はすっかり冷め切っていた。今から自分のためだけに火を熾すのも馬鹿らしい。仕方ない、別に支障があるわけでもないのだから明日に回そう。とりあえず歯磨きだけでもして少し強引に寝てしまえばいい。
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 歯を磨こうとすると、必然的に洗面台についている自分と向き合う鏡を見ることになる。ふむ、だいぶ不健康な顔になったものだ。せっかくの可愛い顔が台無しといったところだろうか、と考え、少しだけ笑ってしまう。笑う、といっても口の端を不器用に釣り上げるだけの不恰好なものだが。
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 塩で歯を乱暴に洗い、唾を吐き出す。何処かが傷ついたのかピンク色の唾液がどろどろと広がった。塩が染み、ヒリヒリとして気持ち悪い。小さな杯に水を汲み、塩まみれになった口の中を洗う。死んだ場所のこともあって塩水は出来るだけ口の中には入れたくないのだが、この時ばかりは仕方がない。
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 少しばかり巫山戯て、タオル、と言いながら隣に手を伸ばす。すると、意外なことに彷徨わせていた手の上に微かな重さ。引き寄せてみると確かに白いタオルが掌に乗っている。
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 顔を拭いつつもう一度隣へと手を伸ばすと、冷たい手が私の指に絡んできた。
  
少しばかり巫山戯て、タオル、と言いながら隣に手を伸ばす。すると、意外なことに彷徨わせていた手の上にかすかな重さ。引き寄せてみると確かに白いタオルが掌に乗っている。
 
顔を拭いつつもう一度隣へと手を伸ばすと、冷たい手が私の指に絡んできた。
 
  
 
『タオルぐらい自分で用意したらどう?』
 
『タオルぐらい自分で用意したらどう?』
  
同じように冷たい手を持ったぬえの声が聞こえた、気がした。反射的にその手を強く握りしめ、口がぬえの二文字を紡ぎかけて、慌てて閉じる。
 
ぬえなの、なんて疑問は声に出さなくていい。返事もしなくていい。誰なのかは分かっている。いや、正確には誰だって構わない。
 
せっかく、ぬえに触れた気分で居られるのだ。せめて、前髪が乾き、目を開けるようになるまではこのままで居たい。それぐらいの贅沢なら、神様だって見逃してくれるだろう。
 
  
(原作:東方Project)
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 同じように冷たい手を持ったぬえの声が聞こえた、気がした。反射的にその手を強く握りしめ、口がぬえの二文字を紡ぎかけて、慌てて閉じる。
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 ぬえなの、なんて疑問は声に出さなくていい。返事もしなくていい。誰なのかは分かっている。いや、正確には誰だって構わない。
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 せっかく、ぬえに触れた気分で居られるのだ。せめて前髪が乾き、目を開けるようになるまではこのままで居たい。それぐらいの贅沢なら、神様だって見逃してくれるだろう。
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==Links==
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[http://tf2b.com/tf2/tomate045 TF2 Backpack]

Revision as of 08:18, 10 December 2012

tomate045
300px
Basic information
Type: Noob
Native language: Japanese
Team Fortress 2
Favourite classes: Leaderboard class pyro.png Leaderboard class medic.png Leaderboard class heavy.png
Favourite maps: 2fort

badwater

Favourite weapons: Backpack Flame Thrower.png Backpack Shotgun.png Backpack Neon Annihilator.png
Favourite hats: Backpack Pyromancer's Mask.png Backpack Prancer's Pride.png
Favourite miscellaneous items: Backpack Sight for Sore Eyes.png

Read me.

I am not so good at English. I am glad if you talk in easy English.


壊れるまでより抜粋

 疲労が溜まった体をずるずると引きずるように動かし、ゆっくりとその場を離れた。此処にいても貴重な睡眠時間を削ることになるだけだと分かっていたからだ。既に眠ろうとしている体を引きずり、なんとか自室の前に着くことができた。

 自室へと繋がる麩に手をかけ開くと、ガランとした室内が目に入った。一人分スペースが空いただけでこんなに部屋を広く感じるというのはいささか問題かもしれない。本棚でも買ってこようか、などといったくだらないことを考えつつ、押し入れから綺麗に畳まれた布団を引きずりだし乱暴に広げる。

 さっさと寝てしまおう。布団を敷いてからその上でぼんやりと考え事をするのがいつもの習慣なのだが、今日はなんだか気分が乗らないのでやめ。

 明日になればぬえもナズーリンも帰ってきて、きっと全てが元通りになるんだ。どうせ私に出来ることなど何一つないのだから、こうやって信じ続けることしか出来ない。

 祈るだけならタダ、という発言にはいささか問題があるかもしれないが。

 溜息を一つ吐き、ゆっくりと瞼を下ろす。


 先ほどまでの疲れ具合からしてそのままするりと眠りに落ちるはずなのだが、どうしてか何時まで経っても寝られない。取留めのない内容の思考に意識を埋めようとしても、ずるずると意識が表層へと現れてきてしまう。

 時間だけがただ無駄に過ぎていく。一刻、二刻……。


 そして、はたと思い当たった。

 風呂にもまだ入っていないし、歯も磨いていない。幽霊なのだからそんなことをやらなくても問題はないのだが、やらなきゃやらないで何だか気持ちが悪いのだ。当たり前のことが出来なくなるほど切羽詰まっている、というのはどうやら正しかったらしい。

 なかなか動こうとしない体を無理に動かし、麩を開く。

 気がついたのがだいぶ遅かったようで、廊下の明かりは完全に消されていた。壁に手をつきながらゆっくりと進んでいく。早く気がつけばよかったんだ、と自分に悪態をつきながら洗面所へ向かう。

 何回か転びそうになりながらもなんとか洗面所にはたどり着いたものの、風呂に張られたお湯はすっかり冷め切っていた。今から自分のためだけに火を熾すのも馬鹿らしい。仕方ない、別に支障があるわけでもないのだから明日に回そう。とりあえず歯磨きだけでもして少し強引に寝てしまえばいい。

 歯を磨こうとすると、必然的に洗面台についている自分と向き合う鏡を見ることになる。ふむ、だいぶ不健康な顔になったものだ。せっかくの可愛い顔が台無しといったところだろうか、と考え、少しだけ笑ってしまう。笑う、といっても口の端を不器用に釣り上げるだけの不恰好なものだが。

 塩で歯を乱暴に洗い、唾を吐き出す。何処かが傷ついたのかピンク色の唾液がどろどろと広がった。塩が染み、ヒリヒリとして気持ち悪い。小さな杯に水を汲み、塩まみれになった口の中を洗う。死んだ場所のこともあって塩水は出来るだけ口の中には入れたくないのだが、この時ばかりは仕方がない。


 少しばかり巫山戯て、タオル、と言いながら隣に手を伸ばす。すると、意外なことに彷徨わせていた手の上に微かな重さ。引き寄せてみると確かに白いタオルが掌に乗っている。

 顔を拭いつつもう一度隣へと手を伸ばすと、冷たい手が私の指に絡んできた。


『タオルぐらい自分で用意したらどう?』


 同じように冷たい手を持ったぬえの声が聞こえた、気がした。反射的にその手を強く握りしめ、口がぬえの二文字を紡ぎかけて、慌てて閉じる。

 ぬえなの、なんて疑問は声に出さなくていい。返事もしなくていい。誰なのかは分かっている。いや、正確には誰だって構わない。

 せっかく、ぬえに触れた気分で居られるのだ。せめて前髪が乾き、目を開けるようになるまではこのままで居たい。それぐらいの贅沢なら、神様だって見逃してくれるだろう。


(原作:東方Project)


編集したページ

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